いわゆるサラ金と呼ばれる消費者金融会社から少額の融資を受けている人は、平成21年時点で約1400万人に上ります。その貸付残高は実に合計14兆2000億円で、サムスン電子の現在の時価総額とほぼ等しい額です。

「過払金返還請求訴訟」とは、こうした巨額なお金を巡る戦いです。過払金とは、文字通り、払い過ぎたお金のことです。原告は主として、銀行からの借入れを受けられず、暴利を貪るサラ金を頼らざるを得なかった多重債務者です。請求の内容は、①元本および適法な金利を超えて支払ったお金は貸主にとって不当利得ですから、それを返してください、②法外な金利を設定した上での貸付は不法行為ですから、損害賠償に応じてください、といったものが多いようです。
 裁判所は債務者に同情的で、次々と原告勝訴の判決を下しています。利息制限法、貸金業法等の法整備も随分進みましたし、事件の掘り起こしにも限界がありますから、訴訟ラッシュは次第に沈静化するでしょうが、しばらくはその動向を注目する価値がありそうです。