「骨肉の争い」。皆さんはこの言葉から何を連想されますか。
私はと言いますと、即座に「遺産相続」を連想してしまいます。長い時間を経て築かれた親族間の友好関係が一夜にして崩壊し、恥も外聞もなく、少しでも多くの財産を獲得しようと躍起になる老若男女の顔が鮮やかに浮かんでくるのです。
「パラサイト・シングル」「笑う相続人」といった言葉もあるくらいですから、親族の財産を当てにしている人は意外に多いのかもしれません。当てにされる方もまた、出来るだけ財産を残してやりたいと思っているかもしれません。しかし、こうした負のスクラムが、潜在的・顕在的な相続人の自律・成長を阻害しているのです。
 法的手続を見ても、財産を遺産分割によって処理するには、多大な労力と幾星霜の経過が必要です。一方、沢山の債務を残せば、3か月以内に各相続人が相続放棄をして終了です。
 このように見てみると、「真に賢明な被相続人とは、借金まみれで死出の旅路につく人」という結論を得られそうです。